王国通信

某情報筋によりますと、昨日王国内におきまして「彷徨える羊爆弾」が投げ込まれた模様。
現在のところ、誰がどこに向けて投げれられたのかははっきりしていません。

本日行われた定例御前会議におきまして、国王陛下自ら先に発表された秋茄子収穫について、改めて臣民らに振る舞えるほどの収穫高が見込めるとの発表がありました。
ただし、やはり本来見込まれていた収穫高・茄子壱千万個にはおよばず、その半数が皆に振る舞われる予定です。

先週金曜より始まった王宮移設作業は、滞りながらも無事に終了。
本日より臣民たちが走り回っております。
当初は王様専用に執務室をご所望でしたが、予算とスペースの都合上カット、通常の王座に落ち着いておりますが、現在までに王様が王座に着かれた様子はございません。
地上約15mの場所に位置する新しい王宮は、天空橋にて結ばれ大変自然身溢れる環境となっておりますが、本日は残念ながら曇り空。
しかしながら臣民たちは心機一転、王様のために今日も走り続けます。

いよいよ本日より、王宮の移設作業が開始されました。
新しい王宮は天空橋に結ばれた大変開放感ある場所にあり、本日は夜通しで荷を運び入れる作業が行われる予定です。

某情報筋によりますと、本日行われた外交問題御前会議にて、秋茄子についての報告が王様よりあった模様です。
内容は、収穫高が見込みの1000万個に到達はしないが、500万個は確保できるだろうというものでした。
しかしその内容の裏づけは確認できなかったと言う事です。

現在、ご息女さまの養育のため、職を一時休まれていた大蔵大臣さまが、王宮にお見えになりました。
来月より大臣職に復帰するため、王様との会談をもつためのご登城とのことです。
９月中は犬蔵大臣とともに公務をこなし、末までには完全にバトンタッチされるものと思われます。

国王陛下におかれましては、先週末の王宮移設に伴う身辺整理に伴い本日は王宮にはお姿を見せず、休息されている模様です。
身辺整理は主に、国家重要機密文書を含んだ書物を情報漏洩の危険性から守るために粉砕処分するためのより分け作業でしたが、大変お疲れになった模様で後始末を犬蔵大臣に任せ、本日はお疲れ休みとのことです。
なお、その際同席していた執事さまは本日も執務に追われておられます。

かねてより開発が進められていた王国の画期的な特産品、「天使のわっか」が、このほど国外向けに紹介され各国の注目を集めている模様です。
しかし王様はその事をご存知ではなく、長老さまとの会談でお気づきになられた模様です。
また、その掲載内容に若干先走りな記事が掲載されたため、王国内は微妙な雰囲気に包まれております。

幻影術師さまのお顔にそっくりと言う事で、王国の人気者であった愛玩動物が昨日、王国の廃棄物処理場にて発見されました。
愛玩動物はくのいちこむすめや外務大臣さまが王宮を離れてからというもの、犬蔵大臣の足元でひっそりと暮らしていましたが、助手がかわいそうだと言う事で光の差す場所まで移動させていました。
しかし、週末の王宮施設作業時に何らかの理由で廃棄物処理場に送られてしまったものと思われます。
その先週末、王様も移設作業に際してご自身の身の回りのものを整理されるとの事でしたが、見たところ変化は無いようなので、ご自身のもの以外のものを処分された際に紛れていたと言う見方が有力視されています。
現在は助手や犬蔵大臣の手により救出され、元の場所で静かに暮らしています。

かねてより、王様より秋の深まる時期に茄子が振舞われるとの発表があり、着々と栽培が続けられていますが、このほど収穫高が予想よりも下回るとの可能性が出てきたとの発表がありました。
昨日行われた御前会議の席上にて、王様が発表なされた内容によると、予想では1000万個の茄子が収穫される予定でしたが、現在の段階で約150万もの赤カブが実っているとの事です。
しかし、王様はこの赤カブが秋茄子に変わる見込みがあると断言されておりました。

今月末付けで王国を去る外務大臣さまは、本日を以て王宮を去られます。
しかし最終日でありながら会談にお出かけになられたり、臨時理事会に出席されたりとお忙しいご様子。
来週から王宮にはお見えになられないとなると、犬蔵大臣をはじめ、臣民らが寂しがると思われます。

元・建設大臣のご登城により、国王陛下は臨時物産研究理事会を招集されました。
これには、外務次官、外務大臣さま、幻影術師さまらもご出席なされ、今後の王国の方針について話し合われました。
その会の途中、王様は会の進行が思うように行かないため、機嫌を損ねているご様子です。

先週より、体調不良により王宮に姿を見せていなかった元・建設大臣が、約２週間ぶりに登城されました。
元・大臣の話によると「骨がズレた」ということで、まだ完全に体調が戻っておらず、今後どういった役職に就かれるかどうか、注目されるところです。

昨日の御前会議にて、貿易交渉が成立したとの発表がありました。
これは今週末にて王宮を去る外務大臣さまにとっての最期の外交交渉で、今後は幻影術師さまに引き継がれるものと思われます。

先週より、体調不良を理由に静養中の元・建設大臣は、復帰予定であった本日の御前会議も欠席。
今週も静養される事が発表されました。
王様の発表によれば、来週には復帰、速くて今週中ごろには登城されるということですが、現在の段階では復帰の見通しは立っていないと言っていいでしょう。

今月下旬に我が王国の王宮は気分新たに移設が決定しておりますが、いよいよ本格的な移設作業が開始されました。
執事さま、引越大臣以下従事者は、王宮に収蔵されている膨大な数の各種書物を手始めに整頓、下旬の本移動に向けて着々と準備を進めております。
移設実施日が実質1日だけに、入念な下準備が重要になる事は間違いありません。

国王陛下におかれましては、本日も精力的にご活躍中です。
北東・森之宮湖からのご来客や、特産品臨時会議、外交問題御前会議にもご出席になられ、ご自身の健在振りをアピールしております。

なお、現在幻影術師さまは謝罪行脚にお出かけになられております。

外務大臣さま、執事さま、犬蔵大臣さまが昨日夕刻にそろって外出。
以前より密かに行われるとみられる「相談会」に出かけられたのか、真偽は不明です。

昨日午後、幻影術師助手が職務をこなしていたところ、突然頭上から空の書類箱が数箱落下、助手の頭部を直撃した。
原因は国王陛下御自らが棚の自分の身長よりも高い位置に置いてあった書類箱を取ろうとした際に起こった不慮の事故と思われる。
しかし幸いにも助手はこの事態を事前に察知、急所をわずかに外した事で被害を最小限に抑えた模様。

つづいて、迷える王国国民を紹介します。

幻影術師助手
2年前に王国に流れ着くも、いつの間にか国王陛下、幻影術師に次いで長く王国いる。
普段は物静かに職務をこなすが、その実、心の中に潜むものを知るものはいない。
王国随一の居眠り魔として名を馳せていると思われている。

おやっさん
「おやっさん」と書いているが、男か女かは誰も知らない。実は幻影術師助手より王国にいる期間が長い。
普段から水の中で生活し、幻影術師助手の手により随時水替えが行われている。
数ヶ月前に、地上へ身投げし自殺騒動を起こすものの、現在では元気を取り戻した模様。
しかし、少なくともすでに3年弱生きており、寿命が近いのではないかと噂される。

王宮付き吟遊詩人
4月ごろより、彼の地より流れ着いた吟遊詩人、毎月王国から詩を発信している。
吟遊詩人が奏でる詩は多くの人に安らぎを与え、国王陛下も涙したと伝えられるが、近頃体調が優れない様子で王宮へも姿を見せず、新たな安住の地を探して旅立ちが噂される。

国家立法女史
王国の法を司る貴婦人。
その麗しい姿は常に若々しく、とても「王国ナンバー２」とは思わせない身のこなしで国王陛下を魅了するが、陛下は特に気にかけていない様子。
しかし、その麗しき姿の裏に意外な過去を持つとの未確認情報も。

外務次官
外務大臣の補佐役として数ヶ月前から次官の職に就くが、先頃の外務大臣辞任発表により、国王陛下の右足として諸国外遊のお供をする日々が続く。
現在、跡取り候補としての教育を受けさせている、との国王陛下の発言があったという事も伝えられ、将来が大変期待される。

長老
国民とは少し違うが、王国の好々爺として臣民らに大変親しまれている存在。
高齢ながらスポーツを愛し、観戦も自ら参加するのも好む。
しかし、かつては他国の国王を務めるなど実力・権力ともに本物で、普段糸のように細い目は国王陛下との会談などでは鋭い目つきとなる。

このほかにも、王国に関わる人々はたくさんいますが、いい加減長いのでいずれまた…。

続いて国王陛下の下、王国を支える大臣たちの紹介です。

執事
王国建国以前より国王陛下を知る数少ない人の一人。
国王陛下の身の回りのお世話をするのが執事の仕事だが、王様の手綱は時々執事の手を振りほどき暴走し始めるため気苦労が絶えない。
日ごろの激務ゆえか近頃体を壊し気味だが、基本的に酒好き。

外務大臣
沈着冷静、頭脳明晰の外務大臣は、国王陛下の理不尽な要求にも屈せずあらゆる難外交をいくつもこなしてきたが、この度、８月末日を以って退任。来週末には王宮を去る見込み。後任は未定。
現在は最期の外交交渉を行っている最中。
王国内では口数が少ないが、特に無口と言うわけではないらしい。

犬蔵大臣
現在産休中の大蔵大臣の代行として着任。まだ年齢も若く、経験も浅いからか大臣職もおぼつかない様子が伺える。
感情の起伏が激しく、元々体が弱いとのことで体調をよく崩したり大臣席でとても重いオーラを発する事もしばしば。
しかし外見からは中々そうは見えない。

元・建設大臣
本年6月より、暫定建設大臣に就任。主に、王宮移設に関する業務を行う予定であったが、その後始まった「物産研究会」の理事に就任。さらに鞄大臣、遠隔切替器大臣に就任するも見事に破綻。自ら大臣職を降り、研究会理事に納まる。一部からは「女王様」と呼ばれることもある。
現在は体調不良のため、一週間の静養中。

引越大臣
4月から見習い（書生）として元・建設大臣の下に付くも、いつの間にか大臣の地位まで駆け上る。元・建設大臣の職務の半分を引き継ぎ王宮移設事業を国王陛下から任されるも、結局はまだ見習いの立場ゆえ、実際は執事が内容を管理するいわば「名ばかり大臣」。
元々低い立場ゆえに何か問題が起こった場合、王様から責任を追及される事が懸念される。

遠隔切替器大臣
同じく4月から見習い（書生）として国王陛下の下に付くも、いつの間にか大臣の地位に就く。
王国の新たな特産品を生み出すべく、元・建設大臣より遠隔切替器大臣を引き継いだ。
しかし、弱小ながら自ら王国を持つ身分である為、その立場はあやふやなものになっている。

…つづく

あらゆる方面より「登場する人物がわかりにくい」との報告がありましたので、ここで我が王国の人物紹介をしたいと思います。

国王陛下
我が王国の長にして最高権力者。
7年前に王国を建国して以来、国王の座にありながら我が国の名を世に知らしめるべく自ら外交活動も行う。
昨年12月に「絶対王政宣言」を行い、王国内での地位を揺ぎ無いものにした。
諸外国からの人気・信頼は絶大。

幻影術師
我が王国のナンバー2。
王国建国以来、国王陛下に従事するとともに、幻影術を使いあらゆる幻影を陛下に見せ続け王国をここまで大きくした影の立役者とも言われる。
しかし、発言力は王国で2番目に強い立場にありながらなかなか口を開かず、権力に興味がないのかそれともどうでもいいのか、端からでは心中を察する事は難しい存在。

副首相
王国建国以前、他国にて今の陛下と知り合い、後に我が王国の副首相となる。
それまで絶対だった国王陛下の発言力を副首相が掌握するものと期待されたが、ものの見事に丸め込まれる。
昨年4月よりその座に就いたが、今年5月に突然の辞任発表。9月末で正式にその座を降り予定。
理由は「始めから1年のみの限定役職だった」と伝えられるが、就任時にその旨の発表がなかったことから真相は不明。

…つづく

6月より開かれている特産研究集会の理事に就任していた元建築大臣がこのたび、健康不良を理由に1週間静養されると共に、建設大臣・鞄大臣・遠隔切替器大臣に続いて、研究会理事の職も退くことになった模様。
これに伴い、先日引越し大臣に就任したばかりの書生氏が研究会理事も兼任することになり、書生氏の負担が大きくなることが予想されます。
これにより、元建設大臣は王国内での職を失う事になります。
昨日、外務大臣さまの辞任が発表され、吟遊詩人さまの去就も注目される中、王宮移転の時期も近づき、王国はにわかに慌しくなっています。

本日朝の御前会議におきまして、王様から外務大臣さまの辞職が発表されました。
今月末で職を退かれるとの事ですが、実質2週間後には王宮から去るとの事です。
後任は現在決まっておらず、外務次官殿と幻影術師さまらで職務内容を引き継がれる事になると思われますが、多少の混乱が予想されます。
現在、辞職の理由についての発表はありません。