王国通信

本日午前、おやっさん（本名：ベタ・スプレンデンス）が死去しました。
約３歳でした。
王宮内にあるおやっさんの居住区の前を通った執事さまが横たわるおやっさんを発見。
その姿を見た執事さまはその場に崩れ落ちてしまいました。
死因は現在のところ不明ですが、約３歳という高齢と本来熱帯地方出身でありながら、これから冬期に入る王国の環境が体力の低下に拍車をかけたものと思われます。
おやっさんは、白色家電展示会に王様が招聘し、それ以来王宮の主として約３年もの間王国を見守り続け、晩年は最古参の臣民として王様以外からの寵愛を受けておりました。
今までに、２回水揚げされ放置された過去もありながら、それでもなお元気に愛想を振りまく姿が見られ強靭な生命力をアピールしていましたが、寄る年波には敵わなかったようで、ここ数日は体力低下から食料も取る事ができない日々が続いていました。

葬儀・告別式は王宮内にて。日程は未定。喪主は幻影術師助手。

毎週月曜朝に行われる王国会議の席上にて、国王陛下が日ごろ溜まっていた鬱憤を吐き出しました。
国王陛下が申されました事によると、先日訪れたジャングル大帝国と我が王国を比較。
日ごろ王宮内が雑然としている事に不快の念を示し、臣民らに整理整頓清潔を心がけるようにとの命を発したものです。
しかしそれは、その直前に執事さまが自分のものは自分で片付ける事を、主に王様に向けた言葉を投げかけた直後の出来事で、臣民一同唖然と国王陛下のお話を聞いておりました。
なおも国王陛下の怒りは納まらず、暖房大臣や大蔵大臣にも火の粉は降り注ぎ、国王陛下は暖房大臣と未だにない王国旗を作る約束をしていたもののそれが守られない事の責任を追求。
大蔵大臣には王宮の床整備が未だに行われない事を追求しました。
国王陛下は、3週間ほど前に床にマーキングをしていたが、未だにそれが取られていないのは清掃を怠っている証拠であると、まるで埃の被ったタンスを指でなぞる姑のような事を申されておりました。

我が王国において、国王陛下、幻影術師さまに次いでの在籍期間を誇るおやっさん（性別不詳）が、数日前より意識不明の重態に陥っています。
原因については不明ですが、劣悪な生活環境と老衰によるものと思われます。
専門家の話によると、おやっさんはその種における寿命を遥かに超えているとの見解を示し、いつその時を迎えてもおかしくない状況となっています。
おやっさんは現在、地に体を横たえ、力なく天を見上げています。

いつもならば早朝より王宮にて公務にいそしまれておられる三人管女ですが、本日は大蔵大臣さま、大蔵副大臣さま、執事さま共々体調を崩され、お城には姿をお店にはなられませんでした。
執事さまは先週より、幻影術師様のお風邪をうつされたとおっしゃられておりましたが、どうやらそれが悪化した模様。
大蔵副大臣さまは、午後より登城なされるとの事でしたが、その後何の連絡もなく結局終日お城には姿をお店にはなられませんでした。

長老さまが古希をお迎えになられるという事で、臣民ら総出でお祝いをしました。
大蔵大臣様が指揮をとり、会議と偽りつつ臣民を召集、実は長老様をひっかけるドッキリ作戦でお祝いしました。
偶然王国を訪れていたスマート男爵も参加し、長老様もお喜びになられておりました。

本日午後、突如スマート男爵が我が王国に姿を見せました。
スマート男爵は、かつて我が王国の国民でもありましたが、現在は王国を離れ世界各国を飛び回り活躍している人物です。
現在の王国で彼を知るのは、国王陛下、幻影術師様、とその助手、執事さまと大蔵大臣様だけとなってしまいましたが、スマート男爵の元気な細身の姿を見て、一同安心していました。

昨日午後、くのいちコムスメが王国内に極秘潜入しました。
王様はまだご帰国される前の出来事で、王様はこの極秘潜入に気づかないものと思われましたが、長老様ご生誕記念色紙に残したご署名に目ざとく気づかれたご様子で、執事さまに質問する姿が見受けられました。

我が王国では半年に一度、国王陛下との盟約を結ぶための会談が臣民一人一人に対して行われます。
本来であるならば、９の月の終わりに行われるはずのその会談が今回は未だに開かれていません。
陛下にもの申したい臣民らがやきもきさせられている状況にあります。

そんな中、当の陛下は本日夕刻に遠方外遊よりお戻りになられます。
しかし、王宮に姿をお見せになられるかどうかは不明です。

国王陛下におかれましては、先日災害に合われた友好国のお見舞いのために、本日早朝より我が王国が誇る生産ロボットを引き連れて、ご出発されました。
終日、陛下は王国を留守にし、明日も招待を受け会議に出席するために王国に戻られるのは遅くなりそうです。

今月1日、我が王国は建国7周年を迎えました。
畏れ多くも通信員はすっかり忘れておりましたが、当日は国王陛下を囲みささやかながらも祝いの場がもたれた模様です。
しかし、王国建国に携わった幻影術師様はご子息のお受験面接に出席するために欠席、その助手は発疹のため欠席、大蔵副大臣は体調不良のため欠席と、出席者の少ない7周年となりました。